入試・入学情報

入試情報

資料請求

教員職員採用

アクセス

アクセス

お問い合わせ

お問合せ・資料請求

校長室から

「遅くても一歩一歩進めば目標を達成できる」

2026.08.17

 みなさんは、田部井淳子さんという登山家を知っているでしょうか。1975年に女性として世界で初めてエベレスト登頂に成功し、その後も女性初の七大陸最高峰登頂を達成した、世界的に有名な偉人です。彼女が山登りを始めたきっかけは、小学4年生の夏休みに担任の先生に連れられて登った那須の茶臼岳でした。頂上から見下ろした美しい風景に大きな衝撃を受け、「未知の世界に行きたい、見たい、知りたい」という強い好奇心が、その後の彼女の人生を突き動かしていく原動力となりました。田部井さんは生前、「いい経験こそ人生の貯金」という言葉を遺されています。

 現代は、インターネットやテレビを開けば、世界中の美しい景色や体験を簡単に映像で見ることができます。しかし、田部井さんは「画面越しの疑似体験と、自分の足でそこに立ち、五感で経験することはまったく違う」と語りました。自分自身の手足を動かし、全身で実体験した良い思い出の蓄積こそが、人生そのものを豊かに充実させてくれるということです。また、山の天気は変わりやすく、時には思い通りに行かない困難にも直面します。田部井さんはそんな時、「計画通りに行かないことも計画の内」と捉え、トラブルさえも滅多にできない貴重な体験として前向きに楽しんだそうです。

 そして東日本大震災のあとは、被災した高校生たちとともに「遅くても一歩一歩進めば目標を達成できる」を合言葉に富士登山を続け、若者たちに挑戦する勇気を伝え続けました。富士山登頂をめざす際にも、いくつもの苦難が待ち構えています。とても気軽に登れる簡単な山という印象を持ち、社会的にも問題となっている弾丸登山など。日本で一番高い山であり、体調不具合(高山病・低体温症・熱中症・疲労遭難)、雪道からの滑落・標高が高い場所での遭難など。それらの苦難を乗り越えて、目標を達成するには、計画と準備を怠らないこと、目標達成への強い信念と好奇心、そして対峙するすべてのことに敬意を表すことでしょう。

 高校生であるみなさんの日々も同じです。この夏休みを通じて、幾つもの経験をされ、より多くの貯金がなされたことでしょう。勉強や部活動、日々の学校生活の中で、時には上手くいかないことや壁にぶつかることもあるでしょう。しかし、挑戦したこと、遠回りしたこと、失敗したこと、その一つひとつの経験・体験すべてに価値と意味があります。経験という貯金を得るためには、失敗を恐れず、何事にも前向きにチャレンジする姿勢こそ大切だと思います。「やって見る」という意欲と行動力こそが、人生の貯金につながることでしょう。そして、その経験から得た貯金は、これから始まる二学期での生活に役立てられることでしょう。

 「遅くても一歩一歩進めば、目標に届く」色々な経験を通して、「自分だって、できるんだ」という確かな自信を、自分の中にひとつずつ植え付けていってください。さまざまな壁に遭遇した時こそ、一つひとつ、まじめに真摯に取り組む姿勢は、評価を高めるだけではなく、問題解決の糸口を見つけ、自己の成長につながることでしょう。歩みというのは、他との競争ではありません。「自分のペース、自分なりの進み方。いわゆる自分流」こそ、大切なことだと思います。そして、その経験という名の貯金と積み重ねた自信を、ぜひ次の新しいステージで存分に発揮してくれることを期待しています。

XLine