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校長室から

デジタル時代だからこそ大切な「ヒトとしてのあり方」

2026.08.23

 今、私たちが生きる世界は、目まぐるしいスピードで変化しています。スマートフォンを開けば、世界中の情報が手に入り、生成AIに問いかければ、一瞬で整った答えが返ってくる、そんな時代になりました。テクノロジーやICTの進化は、私たちの暮らしを圧倒的に便利にし、デジタル化はこれからも加速度的に進んでいくでしょう。

 では、このように「知識やデータならAIがすぐに教えてくれる時代」において、皆さんがこの高校3年間の学校生活で身に付けるべき「本当の力」とは一体何でしょうか。

 私は、それは「答えのない問いに対して、自分の頭で深く考え、他者と協働しながら一歩を踏み出す力」だと考えています。テストで点数を取ることや、知識を覚えることも大切です。しかし、社会に出たときに直面する問題の多くには、教科書のような「たった一つの正解」ではありません。複雑な課題に直面したとき、何が問題なのかを見抜き、自分なりの考えを持ち、周りの人と対話を重ねて解決策を作り出していく。この「思考力」と「行動力」こそが、皆さんの中に残る本物の力です。この力を高めるために、皆さんには2つの姿勢を大切にしてほしいと思います。

  1つ目は、「失敗を恐れずに挑戦し続ける姿勢」です。AIは失敗を避ける計算が得意ですが、人間は失敗から最も多くを学びます。上手くいかなかったときに「なぜだろう」と考え、試行錯誤を繰り返す努力が、皆さんを人間として深く成長させます。

 2つ目は、「多様な意見に耳を傾け、自らを更新する姿勢」です。自分とは異なる考えを持つ友人や先生と議論し、自分の経験や視点を広げていく努力を惜しまないでください。

 そして、私が皆さんに最も伝えたいこと。

 それは、デジタル化がどんなに進もうとも、「ヒトとして決して手放してはならない大切なもの」についてです。どんなに優秀なAIであっても、傷ついた友人の隣で静かに心に寄り添うことはできません。誰かの痛みに涙し、困っている人にそっと手を差し伸べ、共に喜び、助け合う。この「人と人との泥臭くも温かい関わり」だけは、人間にしかできない、人間だけの特権です。画面の向こう側の文字やデータだけで完結する関係ではなく、目の前にいる友人、家族、地域の人々の表情を見、声に耳を傾け、心を通わせてください。

 誰かに寄り添い、助け合い、時に衝突しながらも支え合った経験こそが、皆さんの人生を豊かにする最高の糧となります。この高校3年間は、単に通過点ではありません。皆さんが人としての大きな軸、本当の軸を作り、未来を生き抜くための「何か」を体得する、人生で最も貴重なきっかけの場、経験の場です。デジタルを賢く使いこなしながらも、心には熱い温もりを持ち、人と人との繋がりを大切にする。そんな「強さと優しさを兼ね備えた人」に育ってくれることを、心から期待しています。今日という一日、そしてこれからの学校生活の一歩一歩を、仲間と共に大切に歩んでいきましょう。

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